Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第78章 おにーちゃんになる!
和には兄弟がいない。
所謂“一人っ子”ってやつだ。
だからかな…、兄弟のいる子に比べると、ワガママな面が多々ある。
例えば…
そう、何でも一人占めしたがるとか、順番が守れないとか、さ…
いい子なんだよ?
親バカかもしんないけど、超いい子なんだ。
どうにもならないワガママさえ言わなければね?
ただ、それだって“一人っ子”だから、って理由で片付けてきた。
一人っ子だから仕方ない、ってね。
でもそんな和にも、ちょっとした変化が起きたのは、丁度世間一般でいう“新年度”になってすぐの時だった。
始業式も済み、めでたく2年生に進級した和は、俺が家に帰るなり、手をモジモジさせながら、
「僕ね、お兄ちゃんになったんだ」
って、そりゃもう照れ臭そうに言った。
当然、何を言っているのか分からなかった俺は、頭の上に無数の“?マーク”を浮かべた。
だって和に“弟”なんて存在はいないし、出来る筈もない。
なんたって俺自身、身に覚えがないんだからさ…
俺は空腹を訴える腹の虫を無理矢理黙らせ、夕飯の支度を後回しに、風呂の準備を始めた。
別に夕飯時でも良いんだけど、それだと和のお喋りに満開の花が咲いてしまって、いつまで経っても片付かない可能性がある。
だから、和の話をちゃんと聞いてやるのは、大抵風呂に入ってる時になる。