Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第61章 おとちだま
顔を洗い終えた和がこたつに足を突っ込む。
丸まった背中が、まるでおじいちゃんみたいで笑えてくる。
「はい、お雑煮」
「パンじゃないの? 僕、朝はパンがいいのに…」
目の前のお椀を覗き込んで、和が唇を尖らせる。
つか、正月と言ったら“雑煮”でしょ?
「文句言わない。さ、食べようか」
「あーい…」
あ、とその前に…
「和、あけましておめでとう」
一応、家族とは言え、新年のご挨拶は忘れちゃいけない。
「あまけしておでめとう!」
ハハ、言えてないし(笑)
「じゃあ、ハイこれ」
俺はポケットの中に用意してあった小さな紙袋を取り出すと、和に差し出した。
和が楽しみにしていた“アレ”だ。
「わぁい、パパありがとう!」
さっきまでちょっと不貞腐れ気味だった顔が、一気に綻ぶ。
「いくら入ってるのかなぁ♪」
和がワクワクしながらポチ袋を覗き込む。
でも、
「ねぇ、パパ? 入れる紙間違えちゃったの?」
は?
そんな筈はないけど…
何回も確認したし、なんならこのためにピン札だって用意したし…
「あ、それとも枚数間違えちゃったとか?」
いやいや、そんなことはないだろ…
「だってさ、一枚しか入ってないよ? それに、丸三つしかない…」
えっ、なに?
それだめなの?
「ちぇ、もうちょっと入ってるかと思ったのにな…」
いやいや、去年までは札より硬貨の方がいいって言ってたの、誰だっけ?
「あ、あのな…和…?」
「まあいいや。他に期待しよっと」
うんうん、そうしてください。
つか、百円玉一つで喜んでた、あの可愛かった和はどこへ行ったんだ!
「パパ、早く食べないとお餅硬くなっちゃうよ?」
ハ、ハハハ…
子供なんて、おっきくなればこんなもんか…
と、俺はすっかり硬くなった餅と一緒に、和の成長を噛み締めた。
「あ、来年はもうちょっと違う紙にしてね?」
「しません!」
以上、そんなこんなの、相葉家2018年の幕開けでした。
ちゃんちゃん(笑)