Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第61章 おとちだま
いつもより少し遅めに目を覚ました俺は、早々に着替えを済ませると、テーブルの上に、前日までに用意したお節料理が入った重箱を並べた。
お節料理と言っても、そんな大層なもんじゃない。
殆どがスーパーでパック売りされてる物を、小さな重箱に詰め込んだだけの簡単な物だ。
二人だけならこれで十分。
大体和は食も細いし、なんたって好き嫌いが多いからさ。
「雑煮は…起きてきてからでいいか…」
…と、思ったものの、待てど暮らせど和が起きてくる様子はなくて…
いい加減痺れを切らした俺は、和の部屋のドアを叩いた。
「おーい、そろそろ起きろよ?」
カーテンを開け、頭まですっぽり被った布団を捲る。
「うぅっ…、寒いよ…」
ベッドの上で小さな身体が面白いくらい、小さく丸まっていく。
って、楽しんでる場合じゃない。
「ほら、起きろ」
このまま放っておいたら、和のことだから本当に寝正月になってしまう。
「まだ眠たいよ…」
だろうな…昨日の夜は、大晦日ってこともあって、随分遅くまで起きてたし…
でもそれとこれとは話が別。
「早く起きないと、和が楽しみにしてる物がなくなるけど、いいの?」
こうなったら餌で釣るしかない。
「だめ! それ絶対だめ!」
「だろ? だったら早く着替えて、顔洗って来い」
「あい!」
ハハハ…、素直というか、正直と言うか…
ベッドから飛び起きた和は、パジャマから用意してあった服に着替えると、クスクスと笑う俺の横を通り過ぎて、洗面所に向かった。