Sweet Life 〜僕らの甘い時間〜【気象系BL】
第30章 5色の手裏剣
「母ちゃん、折り紙ちょーだい?」
学校から帰った僕は、青いランドセルをポイッと床に投げると、キッチンでお魚さんと闘ってる母ちゃんのエプロンを引っ張った。
「折り紙なんて何するの?」
母ちゃんはお魚さんを刀で突き刺しながら僕を見てニタッと笑った。
僕は思った。
母ちゃんて、凄い忍者なんだ、って…
「あのね、いいから折り紙ちょーだい?」
僕が言うと、母ちゃんはお魚さんに突き刺した刀を”なまいた”の上に置いて、おててをエプロンで拭いた。
母ちゃんの水色のエプロンが、ちょっとだけ赤くなった。
僕はまた思った。
母ちゃんはお魚さんに勝ったんだ、って…
「ちょっと待ってなさい?」
母ちゃんが僕の頭をポンッと叩いて、キッチンから出ると、リビングにある棚の引き出しを開けた。
「何枚いるの?」
「う〜んとねぇ、ずーまい!」
僕が答えると、母ちゃんは指をペロペロってしてから、折り紙を1枚、2枚と数えだした。
僕は思った。
母ちゃんの手には、きっと忍術がかかってるんだ。
だってあんなに折り紙が指にくっつくわけないもん!
「母ちゃんて、凄いんだね?」
「はあ? 何言ってんの、この子は(笑)」
母ちゃんはハハハと笑って、僕に折り紙をくれた。
何だか少し角っこが濡れてるような気がするけど、気にしないことにしよう(^-^)