第3章 ほんとの君は…?
腹が痛い……(汗)
そりゃそうや
こんなに全力疾走したん
いつ以来やろ?
"たすけてください"
そう電話越しに聞こえた花の声が
耳から離れへんくて
横っ腹が痛なんのも
汗が吹き出すんも気にせず
走り続けること5分……
古着屋の看板の隣で
ちいさくなって丸々花の姿を見つけて
息を吐き出し
「おい……?」
そう声をかけ肩に触れると
びくりと小さく体が震えて
花はゆっくりと顔を上げる……
「………渋谷さんだ……(笑)」
なんてほっとしたように笑いながらも
俺を見つめて安心したように
ぼろぼろと涙を溢す花を
少しでも安心させてやりたくて
花の前に座り
そっと震えてる体を引き寄せると……
「ほんとに怖かったぁ……」
俺の胸に顔を埋めて
小さく震える声でそう呟き
子供みたいに泣きじゃくる……
こんな風に泣かれたり……
こんな風に弱いとこ見せられたら……
今俺が感じてるこの感情が
あかんもんやって解ってても
俺の手でこいつを……
守ってやりたく
なってしまうやんか……?