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紅き姫の下剋上はーれむ。【R-18】

第2章 姫になりまして。


「……分かったわ。それまでに、作法とか行儀とか覚えないと」

え?と、エドウィンがどこか拍子抜けな顔をする。

「抵抗なさらないのですか?見ず知らずの男と婚約しなければならないというのに」

彼は私に何と答えて欲しいのだろう。
抵抗しろと?それを望んでいるのというのか。

そんな訳ない。

したくても出来ないことを知っていて聞いているのだ。私という存在が、どれだけ無力なものなのか知っておきながらも、彼は抗えと?冗談じゃない。

「私がそんなにわがまま娘に見える?身の程くらいわきまえているわ」

少し冗談めかして言ってみる。
でも、彼は愛想笑いの一つもしてくれなかった。

「姫様……辛いでしょう?こんなこと、姫様は望んでいないはず」

驚いた。
彼に私の何が分かるというのだろう。
どうして、そんな顔をするのだろうか。

泣きそうで怒っているような、何とも言えない顔。

「意外と望んでいるかもしれないわよ?あんたには分からないわ」

不本意なことだって、不条理なことだって、絶対に答えはyesだ。彼には分からない。

分かるはずがない。

手が届く距離にやっと見つけた幸せに対する執念など。
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