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紅き姫の下剋上はーれむ。【R-18】

第1章 紅き姫の誕生


「ミレディ、私と城で暮らさないか」

父さんの言葉は、あまりに唐突で驚く言葉だった。

「ええっ!?で、でも私……作法とか分からないし、言葉だって上品な言葉なんて話せないわ。それに、学なんてない。辛うじて、読み書き出来る程度よ」

下町育ちで、読み書きができるのはかなり優秀な方だ。まあ、城へ行けば、それが当たり前になるだろうし、私は落ちぶれ決定だ。

「いいや、ぜひ来てくれ。お前を一人で住まわすのは心配だ。それに、今度こそ守ってみせよう。絶対に、守ってみせる」

「父さん……」

一人で暮らすことには慣れた。
だがどうも、一人の寂しさには慣れない。
だから、とても惹かれる言葉だ。
でも、私は父さんにとって……国王にとって、あまりいい存在ではない。

「頼む。もう、愛しい者を失いたくはないんだ……」

私はどうやら父に甘いらしい。

「……うん、分かった。私も、もう一人は嫌だもの」

こんな簡単に決めてしまってもいいものなのだろうか。答えは分かりきっているけど。
こんなの、だめに決まってる。
でも、それでも家族だから。


やっと、一人分の幸せを……普通の幸せを手に入れられる。

そう思っていた。
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