第29章 紫の特攻服
「大丈夫か?」
走ってる最中、彼が心配してくれた。
「うん。」
笑顔で応える。
そして、彼の背中にしっかりと掴まる。
彼の背中は大きくて広い。
その上、気持ちいい。
ゴオォォォオオ―――
風を切る音とバタバタと揺れる特攻服の音が耳に届いてくる。
なんだか、彼と一体になれた気がした。
ヒュルルルル―――
ヒュ―――――
突然、空にロケット花火が上がった。
何発も
後ろを振り向くと、季節外れの花火をバイクの後ろに乗った兵隊達が楽しんでいる。
「花火をやめんか!!」
スピーカーで警官が叫んだ。
それでも、彼等は止めようとしなかった。