第25章 本気とファンの違い
「………。」
先程から、彼が機嫌が悪い。
20キロのダンベルを無言で片手で動かしている。
眉間に大量のシワを寄せて、先程の雑誌を睨み付けている。
ルイの写ったページを。
雑誌の中のルイは、爽やかに笑っている。
「……あのね。」
「あ?」
彼がこちらを見てくれない。
「あたしの友達、みんな彼が好きなの。」
「…だから?」
「…だから―――」
次の言葉が喉に詰まって出てこない。
「お前、コイツと俺どっちが好きなんか?」
「それは…誠也君です。」
「でも、コイツも好きなんだろ?」
「いや、だからファンなだけなんだってば。」
「どーだか。」
彼は手を止めずにあたしから顔を反らした。
ムカッ―――
「誰かのファンになるくらいいいじゃない!!誠也君のわからずや!!」
あたしは、そう叫ぶとベットに入った。
彼に背を向ける。
「どうしたん?」
お風呂に入っていた勇人君が不思議そうに二人を見ていた。
「……なんでもねーよ。」
彼はそう言って手を動かし続けた。