第22章 超回復力
親子と言うのは無情なものだ。
たとえ、子供が親を想っていても親が子を捨ててしまえばもう親子は成り立たない。
たったパチンコという名の泥沼にハマっただけで親子関係が崩れるなんて…。
子供にとって親は絶対に必要な者なのに…。
どうして子供から奪われなくてはならないのだろうか。
「大人って勝手だね…。」
自分達が愛し合って生まれた命なのに平気で捨てるから―――
みんなと別れた後、彼の家までタクシーに乗って帰っていた。
「勝手なのは大人だけじゃねーよ。」
「え?」
あたしは驚いて彼を見た。
「人間てさ…なんだかんだいっても、最終的には自分の事しか考えれねぇんだよ。でもさ、ホントに大事なもんとか見つけた奴は相手を思いやるっつう気持ちが生まれるんだ。俺も大事なもん見つけたからさ、たぶん人を思いやれるんだ。お前や勇人やダチや仲間とか―――。」
そう言って彼はあたしの頭に手を置いた。
「……そうだね。」
あたしも大事なもの見つけたから相手を思いやれるのかな?
俯きながら考えた。
家族の事とか。
友達の事とか。
勇人君や先輩達の事とか。
誠也君の事とか。
「つか、今日飯食いに行こうか?俺のバイクで。」
「でも…傷――」
「だから、俺は身体の造りがちがうんだって。」
また、言ってる。
あたしは思わず笑ってしまった。