第1章 ~初夜の声は、さらすもの。~
いくら奥手で男性が苦手な私でも、
男の人と付き合う、ということが
どんなことなのかくらいは、知っている。
田舎の女子高だったから
そんなに遊んでる子ばかりではなかったけど
社会人になってからは友達もみんな
どんどん彼氏ができて、
キレイになっていってて…
もう、私みたいな…その…ええと…
言葉にするのも恥ずかしいんだけど…
処女…の子の方が少ない。
そんな私だったから、
孝一さんと付き合い始めてからは
どうしたものかといつもドキドキしていた。
求められたら、断るわけにはいかないよね。
だって、
結婚を前提にお付き合いしてるんだもの。
今さら、処女なんて言ったら
むしろドン引きされるんじゃないかな?
孝一さんは、きっとたくさん経験してるはず。
私みたいな何をしたらいいかわからないような
経験不足の女が相手じゃ、つまらないかも…
それが原因で嫌われたら、どうしよう。
そう思って、
初めてキスをした時に、
思い切って本当のことを話した。
「孝一さん、あの、恥ずかしいんですけど、
私、今の、ファーストキスでした。」
「そうなの?はるかの初めての相手なんて
僕も嬉しいよ。」
「あの…もちろんその先も、あの、まだ…」
そこまでしか自分では言えず
俯いてしまった私の肩を、ポンとたたき
「それこそ、嬉しいよ。
そんなはるかだから、結婚相手として
お付き合いしたいと思ったんだ。
心配しないでいいよ。これから一生、一緒なんだ。
焦らないで。」
ホッとした。
今日まで誰とも付き合わなくてよかった、って
心から思った。
孝一さんの奥さんになれることを、
本当に嬉しいと思った。