第4章 買い出し。(火神大我)
「…?!」
「あ、大我。奇遇だね、こんな所で会うなんて!」
「奇遇だね…じゃねぇだろ!何やってんだ!お前!」
部活が休みの日曜日。
駅前を一人歩いていた火神は両手いっぱいに荷物を抱えたとバッタリと会った。
「何って…バスケ部の備品の買い出し?だけど…」
「何サラッと言ってんだよ……」
聞いたのはそう言う事じゃない。
何で一人でそんな大量の荷物を買い出してるのかって事。
「それじゃほとんど前見えてねーじゃねぇか…」
「うん…まぁ、何とかなるかなって、ハハ」
「俺、ちょうど暇してるけど」
「?そうなの?いいなぁ」
「………」
「……?」
頼って欲しくてそんな遠回りな言い方をしてみてもコイツには通用しないんだった。
火神は溜め息をついて頭を掻いた。
「だから荷物持ってやるって言ってんだよ」
「え…いいの?折角の休みなのに…」
「それはお前も一緒だろーが、いいから荷物貸せ」
「ありがとう!大我…っ」
ぱぁっと弾けた笑顔に火神の胸は高鳴った。
「はぁ?両方貸せよ」
「いくらなんでもそれは悪いよ」
「んだよ、そんなの気にすんなよ」
「だって私すごく嫌な女みたいじゃん…あ、そうだ!」
何か思い付いたは急に火神の空いてる右手を取る。
驚いて体を強張らせた火神だったが、は気にする素振りなどなく小さな手で大きな火神の手を握り締めた。
「おま…っなんで、手…!///」
「これなら私ごと荷物持ってる事になるでしょ!」
「は…………?」
いやいや、なるわけねーだろ…!
そう喉まで出かかった言葉を火神はグッと飲み込んだ。
「しゃーねぇ…お前がそう言うならそれでいっか」
「?」
「……小せぇ手だな、こんなんでよく全部持とうとしたな」
「アハハ、実の所すごーく助かりました(笑)」
「ハッ…だから言ったろ!」
手を繋いで笑い合う二人は周りからどう見えているだろうか。
もし自分の都合の良いように見られているとしたら。
「…悪くねーな」
「大我?」
そのまま二人は手を繋いだまま学校へ向かうのだった。