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Come To Me.(黒子のバスケ超短編)

第3章 テーピング。(木吉鉄平)


「木吉先輩、テーピングやりましょうか?」
「あぁ、ありがとう、助かるよ」

テーピングを手に座り込む木吉には声を掛けた。

「マネージャーなんですから、何でも言ってください!」
「ハハ、そうだな、頼りにしてるよ」

丁寧に膝にテーピングを巻いていくの真剣な顔を木吉はじっと見つめていた。

「木吉先輩、キツくないですか?」
「………」
「木吉先輩?」
「ん…あぁ、悪い。ボーっとしてた」
「これから練習ですけど、体調とか悪いなら見学とか…大丈夫ですか?」

心配そうなの頭を撫でて木吉はにっこりと笑った。

「すまない、心配させちゃったな…俺は至って元気だよ」
「なら、良かったです」

笑顔の木吉にも安心して笑顔を返す。

きっちりと巻かれたテーピングの上からサポーターを着けて立ち上がると木吉は床を踏みしめて感覚を確認した。

「うん、バッチリだ。すごいなは」
「良かった、他に何かあったら言ってくださいね」
「…じゃあ、もう1つだけいいか?」
「?…はい」

大きな瞳が不思議そうに木吉を捉える。
そんなを見て木吉はクスリと笑った。


妹みたいだと思っていたのに気付けば心を掴まれていた。
そしてその気持ちにはいつしか独占欲に似た思いが混じるようになっていた。


「…俺のことも名前で呼んでくれないか?」
「………へ?」

予想してなかった木吉のお願いには気の抜けた返事を返してしまう。

「テーピングも上手く巻いてもらって、その上に名前で呼ばれたらもっと力が出そうなんだ。それに日向だけ名前呼びなのはずるくないか?」
「あ…はい、えと……わかりました…?」

そんな爽やかな顔で言われてしまったら断るなんて出来そうにない。
日向の時は自分で仕向けたことだったけれど、今回は違う。

真っ正面からお願いされてしまっている。


「て、鉄平先輩……?」

恥ずかしさの残るその声色は木吉の心を擽った。

「あぁ、良いな…抱き締めたいくらいだ」
「どさくさに紛れて何言ってるんですか…もう…」

そう言っては立ち上がる。

木吉はテーピングを片付けに向かった彼女の後ろ姿を満足気に見送った。
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