第23章 相談。(緑間真太郎)
「…っ!」
「………っ!?」
緑間が歩いているを見つけ、その異変に気付いて腕を掴んだ時にはの眼前に電信柱が迫っていた。
強い口調で呼ばれ腕を引かれた事で衝突は間一髪免れた。
「し、ん…たろう……?」
「……何をやっているのだよ、お前は…」
「ごめん…ちょっと考え事してて」
京都から帰ってきてからはこうしてぼんやりしている事が増えた。
それはやはりあの時の赤司の言葉のせいだろうか。
「話せる事なら話せ」
「真太郎…?」
「悩みが…あるんじゃないのか」
緑間に話すべきか一瞬戸惑っただが、緑間にならと口を静かにひらいた。
「………赤司、」
「ごめん…真太郎に話しても困らせるだけなのに」
京都でそんな事があったとは。
まんまとやられた。
の話を聞いて緑間は眉間に皺を寄せる。
「いや…聞いておいて良かったのだよ」
「え…?」
緑間の予想外の返答には彼の顔を見つめた。
「ただ、恋愛相談相手に成り下がるつもりはない」
「成り……?真太郎?」
わけがわからないと言う顔をしたの手を緑間はそっと握る。
小さな手。
この手が赤司と一日中繋いでいたと思うと悔しさが込み上げてくる。
浜辺で言えなかった言葉を今なら言えるだろうか。
今日の蟹座は二位。
気を付けるべきは水難だけだ。
幸いここは道路だ、『水』などありはしない。
「あ、あの、真太郎…」
手を握られて赤くなるの顔を緑間は優しく見つめる。
愛しい、そんな気持ちが次々に溢れてくる。
「、俺は…赤司に負ける気など更々ないのだよ」
「それってどういう……」
「俺は、」
ポツ、ポツ…ザーーーー!!
「「!?」」
緑間とは同時に空を見上げる。
真っ黒な雲と共に急な雨が二人を襲った。
「た、大変!とりあえず急いで帰ろう!!二人とも風邪引いちゃう!」
「…っ!ちょ、待…っ!」
「真太郎、話聞いてくれてありがとう!時間を掛けて色々考える!行こう!」
緑間の腕を引いては急いで駆け出した。
正に、水難。
この日ばかりは当たり過ぎるおは朝占いを恨んだ緑間なのであった。