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Come To Me.(黒子のバスケ超短編)

第21章 満員電車。(笠松幸男)


「混んでるなぁ……」

家の用事で珍しく電車に乗ることになったはホームの人の多さに戸惑っていた。
駅員のアナウンスがさっきからエンドレスで流れている。
どうやら三駅後ろの駅で起こった信号機の故障のせいでこの混雑らしかった。

「あれ…あそこにいるのって、」

は混雑しているホームの自動販売機の前に海常の制服を来ている黒髪の人を見つけた。

「笠松さん」
「あ?お前、誠凛の……」
「こんにちは、マネージャーのです」
「おう、あ、電車きたな」

聞けば目的の駅はどうやら同じ。
そのまま二人は同じ車両に乗り込んだ。
ホームにいた人達も次々と乗り込み、車内はあっという間にほとんど身動きが取れないほどの混雑となってしまった。

「ひゃ……!」
「あっおい!大丈夫か……?」

人の背に押されてふらつきそうになったの肩を笠松が咄嗟に掴む。

「すみません…大丈夫で「じゃ、ねーわな。嫌かもしんねーけど、ここにいろ」
「あ、ありがとうございます…!」

笠松と、電車の壁の間。
笠松が腕で支えてのいられるスペースを作っていた。
はありがたくそこに居させて貰いながらふと黄瀬の話を思い出す。


『笠松先輩、女の人苦手っつーか奥手っつーかそんな感じなんスよね!』


その話が確かだとすれば今彼は相当無理をしているのではないだろうか?

「あの……笠松さん、私がここにいても、その…大丈夫ですか?」

そう言って間近の笠松を見上げる。

「あ…?腕の事か?これくらいなんでもねーよ、気にすんな」

そうじゃなくて、と言い掛けたの言葉を遮るように笠松は更に続ける。

「それよりも……あんま、そうやって見んな」
「え?」
「だから!こっち、あんま見んなって言ってんだよ…どうすりゃいいかわかんなくなんだろ…!」
「す、すみません……!あっ……!」

がパッと下を向いた瞬間、ガタンと電車が大きく揺れた。
その拍子で笠松に抱き着く形になってしまった。
スペースを作っていた笠松の腕も今の揺れで崩れてしまい、二人の距離はないも等しいものとなる。

「ごめんなさい…」
「いや、のせいじゃねぇだろ…」



目的の駅まで、あと二駅。
二人にとってはとても長い二駅。

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