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Come To Me.(黒子のバスケ超短編)

第20章 捻挫。(木吉鉄平)


「か?」
「鉄平先輩」
「足、引き摺ってるが…どうかしたのか?」
「あ、えと…実は…」

前の授業の体育で捻挫をした。
大した事はないだろうと放って置いたのだが、腫れと痛みが酷くなってきたのでやはり保健室へ行こうと向かっている途中だった。

そこで木吉とバッタリと出会したと言うわけだ。

「それで歩いて行こうとしていたらダメだろ?」
「いや、痛いけど歩けないわけではないですし」
「痛いんじゃないか」
「でも大丈夫で……って鉄平先輩!?」

壁を伝いながら歩き出そうとしていたを木吉はひょいっと横抱きにした。

「痛いまま歩いていたらもっと悪化するぞ、俺が保健室まで運ぶよ」
「で、でも!私重いです…!それに…!これっ」
「ホラホラ、暴れない」

恥ずかしい、そう言おうとしたが、それは木吉に爽やかに遮られてしまう。
あわあわと狼狽えるを余所に木吉は涼しい顔をしてを抱えたまま廊下を進む。

「一人抱えるくらい俺にはどうってことないよ、それより落ちないようにちゃんと掴まってろな?」

どうしたものかと悩んだ挙げ句には下ろして貰うことを諦め、遠慮がちに木吉の制服のシャツを掴む。

「よし!行くか!」

先輩はこういう事、慣れてるんだろうか。
平然と歩く木吉の横顔を見つめながら思った。

「ん?どうした?」
「あ、いえ…鉄平先輩は、慣れてるんですか?こういう事…」
「え?ハハハ、まさか。そりゃ困ってる人は助けたいとは思うが…」

木吉は横抱きにしたを自分の方へ更に抱き寄せる。

「こうやって触れたいって思うのはだけだぞ?」
「……!」
「ハハ、リンゴみたいだな」

ボンっと赤くなったを見て木吉はニッコリと笑った。



その後、保健室に着いてからが教室へ帰るまで木吉はずっと付き添っていた。
さすがに教室へ帰る道のりでのお姫様抱っこはが激しく遠慮したので、何事もなく戻れたのだが。

保健室へ向かうあの二人の様子を見た生徒もそれなりいた事で、

「「木吉!どーゆー事だ!」」

部活の時間に木吉が日向達に問い詰められたのは言うまでもない。




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