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Come To Me.(黒子のバスケ超短編)

第15章 呼び出し。(紫原敦)


それは部活が休みの日に突然掛かってきた一本の電話。

『ちん、今何処にいんの?』
「え?あ…!敦?!」
『家にいんの?』
「え、あ、うん…いる、けど…?」
『じゃあ外、出てきて』

そうして一方的に電話は切れる。

まさか…ね。

頭に浮かんだ考えを一旦頭の外へ追いやり、はとりあえず言われた通りに玄関を出る。
そこではそのまさかを目の当たりにした。

「あ、つし……?」
「ちん、出掛けるよ」
「な、なんで敦がここにいるの?!」
「室ちんと一緒にこっち来て、ちょっと家に顔出しただけ。それより、」
「え?…っひゃ……!」
「…ちん、ちょっと軽すぎ…こんなんじゃ風に飛ばされるっしょ」
「そ、そんなわけないでしょ…!下ろして敦…!」

紫原に突然抱き上げられたは顔を真っ赤にして抗議する。
中学の時から事ある毎にこうして抱き上げる彼。
もちろん限定の話だ。
恐らく、紫原を見下ろす事が出来るのは日本でしかいないだろう。

「出掛けるって…敦、何処へ?」
「何処でもいい、二人なら」
「わかった、けど…なんでいきなり?」

地面に下ろされた後、紫原に疑問をぶつけると彼は口を尖らせて拗ねた様な表情を見せる。

「………が、」
「え?」
「…室ちんが、ちんと二人で出掛けたって言うから。そんなの、ズリーし…」

そう言われてはつい先日氷室とカフェへ行った事を思い出す。
目の前の彼は、それを拗ねているのか。
そう思うととても可愛らしく見えてきた。

体は、こんなに大きいのに。

「敦、駅前にスイーツ食べ放題のお店があるけど行く?」
「ん…でも帰りにまいう棒も買う…」
「うん、わかった!行こう!」

簡単に支度を済ませ、大きな紫原の手を引いて駅前へ向かう。


「ちょっと…手を引くのは俺の方でしょ」




さっきより少し機嫌が直った彼が、まいう棒を買う頃にはもっと笑顔を見せてくれますように。

「ちん、足遅い」
「敦が速いの…!」
「やっぱ抱え…「なくていいです!!」


は紫原に遅れないように必死に歩くのだった。
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