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Come To Me.(黒子のバスケ超短編)

第13章 ベランダ。(降旗光樹)


夏。

恒例になりつつある、火神宅での宴会。
練習後と言う事もあり満腹になると至る所で部員達は眠り始めた。
起きていた部員もリコのサプリメント入り料理で止めを刺され床についた。

「あれ…みんな、寝ちゃったんだ」

たまたまトイレに立っていた降旗はその餌食にならずに済んでいた。

ふとベランダへ続く戸が開いているのに気付いた。
何気なくベランダを覗いてみると、そこにはベランダの壁に凭れて気持ち良さそうにウトウトしているの姿。

「、さん…?」
「………」

夏とは言えど、あのままじゃ風邪を引いてしまうかもしれない。
そう思った降旗は自分のジャージを持ってベランダへと出た。

(く、臭くないよな…?)

そっとジャージをにかけて再び部屋へ戻ろうとしたその時、

「…!!?」

小さなの手がしっかりと降旗の服を掴んでいた。

「さん…?」

名前を呼ぶも反応はない。
やっぱりは寝ている。

「どうしよう…これじゃ、」

部屋に戻れない。
悩んだ挙げ句、降旗はの隣へと腰を下ろした。
こんな場面を見られたら皆に殴られそうだと思いながらも、の可愛らしい寝顔を見つめられる事に嬉しさを感じていた。

(睫毛長いなぁ……)

視線を空に向ける。
静かな空間に二人きりでいるような気がした。

(普段は、キャプテンや火神や黒子が側にいて中々話せてないもんな…)

の寝顔を見ている内に降旗も睡魔に襲われ始める。

「今日だけ…おやすみ、さん」

の頭をそっと撫でて、降旗は静かに目を閉じた。



翌朝、姿の見えない二人を探してベランダにお互いの頭を寄せ合って眠る二人を見つけた火神が大発狂したのは言うまでもない。

「側にいてくれたの…降旗くんだったんだね。ありがとう、なんだかとても落ち着いた」


皆に怒られながらもがそう言って笑顔を見せるから。
降旗の心はとても満たされていた。


(これからはもっと話し掛けよう…!)


そんな決意を新たにする降旗なのであった。


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