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Come To Me.(黒子のバスケ超短編)

第1章 部活前。(日向順平)


部活開始15分前。
一人ボールを触る日向の背中には視線を向けていた。

「日向先輩」
「あー?」
「日向せんぱーい」
「だからなんだよ」

返事はするものの、こちらを一向に見ない日向には頬を膨らます。

「…じゅんぺーくん」
「………はぁぁぁぁ!!?///」
「あ、やっとこっち向いてくれましたね」
「お、お、おま…っ//何、名前で呼んで…っ//」

驚いた日向の手からボールは転がり落ち、コートを転がって行く。
真っ赤な顔でどもる彼にはにっこりと微笑んだ。

「だって日向先輩こっち向いてくれないから、背中、糸屑ついてますよ」
「あ…ワリ……」

は日向の背中の糸屑を取る。

今まで『日向』と呼ばれることが普通だったのに。

一度名前で呼ばれるトキメキを知ってしまったから、もう今まで通り呼ばれることに何とも言えない寂しさを感じてしまっている。

「もう呼ばないのか……?名前…」
「え、良いんですか?呼んで」
「…良い」
「わかりました。あ、皆揃いましたね!練習始めましょ!」
「………お、おう」

すぐに呼んで貰えると期待していた。

何を思っているのかわからない、華奢な背中を見つめながら日向は小さく息を吐いた。

からかわれた…?

そんな考えすら日向の頭に浮かんでいた。

「集まって!」

リコの声が体育館に響いて部員達が集合する。

「今日は頭から紅白戦!負けた方はペナルティね、気合い入れて行くわよ!」

予めリコが決めていた通りにチームを分けてがビブスを配る。
は最後の一枚を持って日向の前で足を止める。


「はい、頑張って下さいね!順平先輩っ」
「な………っ!///」




眩しい笑顔。

不意の名前。



日向の顔はみるみる内に赤くなる。

「?ビブスどうぞ、順平先輩」
「……お、おう!//バシバシ決めてやらぁ!ちゃんと見とけよ!」
「はいっ」

ほんのりと甘いその空気に他の部員達が気付かないはずもなく、

「ちょ…っ!お前ら……!」

日向へのマークが厳しくなったのは言うまでもなく、味方のパスも優しさに欠けていた。


「順平先輩っ!頑張って!」








(((羨まし過ぎる………!!)))


その日、紅白戦に勝ったものの日向にはペナルティが課せられたという。

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