第13章 Loved one 信長ルート
『つまらぬ』
信長はボソッと呟く
『御屋形様?なにか?』
軍議にて秀吉が報告をしているのを止める
『いや、続けろ』
飛鳥が表現を取り戻してからと言うもの、より一層秀吉達が代わる代わる飛鳥の元を訪れる。
信長が飛鳥を見るのは食事で広間に集まる時と軍議に参加する時のみとなっていた。
近隣の小規模な小競り合いに出向き、城を開ける事もありここ数ヶ月は飛鳥と殆ど会話などしていなかった。
この恋心の様な気持ちに、信長自身はあまり気付かず、なにかずっとモヤモヤしていた。
天守に戻り秀吉に、見つからぬよう隠している金平糖の瓶を引き出しから取り蓋を開け、一粒口に入れる。
中身を見ると後少ししか残ってない。
同じ引き出しを開けると、ヒビの入った金平糖の瓶を手に取る。
あの時飛鳥が甘味屋で信長に買った金平糖。
信長はそれを食べずに大切にそっとしまう。
近頃は小競り合いがあったせいで城下町には金平糖が手に入らない。
ふとある事を思い出し天守を出る。
廊下を歩くと中庭で三成と談笑している飛鳥を見つける。
その姿を見てモヤっとしたが声をかける
『飛鳥』
振り向きふにゃっと笑うと
「信長様!」
と駆け寄ってくる。
少し微笑みながら飛鳥に告げる
『出かける用意をしろ』
突然の話に頭に疑問符をつけて首をかしげる
「あの…何処へですか?」
そんな飛鳥に急かすように
『とにかく早く支度をしろ』
そう告げると家臣の元に向かう
今だきょとんとしている飛鳥に三成は
『飛鳥様。ご用意を致しましょうか?信長様には何かお考えがありましょう』
「うん」
そう言って飛鳥は支度をしに部屋に戻る