第11章 loved one 秀吉ルート
「んっ…嫌…やめて…」
『飛鳥…?』
褥に向かうと、苦しそうな表情で手が宙を舞う
「助けて…秀吉さん…助けて」
咄嗟に飛鳥を抱きしめる
あの時自分の名前を呼び助けを求めていたのを知り、自分自身に激しい怒りと悲しみが押し寄せる
『飛鳥!っ、飛鳥!俺はここにいる!ここにいるから安心しろ!』
張り詰めた声で腕の中の飛鳥に呼びかける
薄っすらと目が開き安堵した様で、今の状況に驚いてる表情の飛鳥と目が合う
「あっ、秀吉さん!ごっごめんなさい!」
慌てて腕から逃れようとする飛鳥を離さぬ様にぎゅっと抱きしめる
『飛鳥…さっきの言葉は本当…か?』
飛鳥が眠りにつく前に言っていた言葉を確かめる
頬を赤く染め困惑した顔で秀吉の胸に顔を埋めたまま頷く
「ごめんね…迷惑だったよね…だからいいの。酔っ払いの戯言だと思ってくれて…」
その言葉を聞いて飛鳥の顎を掬い触れるだけの口づけを落とす
「っ」
驚く飛鳥を離し目を見る
『飛鳥…俺もお前が好きだ…妹じゃなく…だから戯言なんて言うな』
みるみる目に涙が溜まり一粒頬を伝う
「秀吉…さん…私…でも…」
あの日の事を思ったのだろう
そんな事は秀吉の気持ちを変える要素では一つもない
飛鳥が言い終わる前に今度は激しく口づけをする
何度も角度を変え薄く開いた口に舌を這わず
激しく奪う唇をちゅっと音を立てて離す
『俺はてっきり兄としてしか想われてないと思っていた。それでもお前の側に居られればいいと思ってた。あの時お前を守れなくて…自分が不甲斐なくて…兄としてでも守れなかったと…ごめん飛鳥…辛い思いをさせた…』
飛鳥が一番傷付いているのはわかっていたが、飛鳥への想いを口にしているうちに自分の目から一粒零れ落ちているのを秀吉は気付いていない