第58章 花魁ノ舞

外から声をかける
『お酒をお持ちいたしました』

中の飛鳥が襖に近づく

「へぇ…おおきに…」

開けた襖の前には政宗と秀吉、飛鳥に似た遊女

「えっ？あれ…」

慌てて秀吉が飛鳥の口を塞ぎ襖を閉めた

『しっ！あの客にバレたくないだろ？』

コクリと頷く飛鳥

『すんまへん…』

頭を下げて遊女が部屋に入って行く
中からは嬉しそうなお客の声…
部屋から離れた所で飛鳥の口から手を離す

「っはぁ…」

『ふっ…お疲れ様』

秀吉が飛鳥の頭を撫でながら呟く

「心配かけてごめんね！なんか人違いされちゃって…」
『あぁ、わかってたから大丈夫だ』

政宗も優しく笑う

部屋にたどり着き、信長に頭を下げる

「すいませんでした。人違いされて戻れませんでした…」

秀吉が補足すると信長も頷きニヤっと笑う

『くっ…貴様はやはり面白い奴だ』

飛鳥は恐縮しながら下を向く

『まぁ飛鳥の舞が見れたのは良かったな』
「えっ！見てたの⁈」

顔を上げて驚く飛鳥

『あぁ…上手いんだな』
「そんなことないよ…少しやってただけだから…」

照れる飛鳥に信長が呟く

『飛鳥、舞ってみよ』
『少ししか見れなかったからな…俺も見たい』

秀吉も微笑みながら飛鳥の踊りを催促する

「あんまり期待しないでくださいね…」

飛鳥が立ち上がると三味線の音が響く
華麗に舞う飛鳥は本当に遊女のようで妖艶で…
信長達は舞を存分に楽しんだ。

飛鳥の初花街体験は満足行くもので、終始笑顔だった飛鳥は城に戻ると三成に楽しそうに話してるのだった…



完