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【イケメン戦国】誘惑の華

第56章 夢幻〜家康〜




あぁ…もう、ムカつく。

城にいると誰かしらに飛鳥との事を聞かれるので、御殿に戻る事にする。

戻っても結局考えるのは飛鳥の事で…
政務も手につかない。

『家康様、飛鳥様がお見えになりました』
『えっ…あぁ』

襖が開くと下を向く飛鳥が立ち尽くす。

『なに?』

こんな言葉かけたくないのに、口から出るのは冷たい言葉。

「これ…信長様から預かってきたの…急ぎだって言うから…すぐ目を通してって。」

目を見ずに文を渡す飛鳥。

『わかった。待ってて』

急ぎ文を開く

『っ…』

読んだ文を元に戻し机の上に置くとため息をつく

『はぁ…』
「大丈夫…?戦が始まるの…?」

急ぎと聞いて戦を連想する飛鳥。

『あぁ…大きな戦』
「っ…」

下を向いてた顔が家康を見つめた飛鳥は、不安で涙が溜まる。
立ち尽くす飛鳥に近寄り、手を引き部屋に招き入れる。

「大きな戦って…そんな…」

俺たちの命の危険を察知したのだろう。
溜まった涙が頬を伝う。
そっと拭ってやると見上げながら呟く

「家康…死なないでね…?ちゃんと帰ってきて?私を…一人にしないで…」

家康に抱きつき胸に顔を埋める


『大丈夫でしょ…俺負けないし。』

胸の中でうずくまる飛鳥を抱きしめる…

やっとこの手に飛鳥を抱き締められた…

その途端家康の肩から力が抜ける。

『はぁ…ほんとあんたには敵わない…』

腕の中の飛鳥が顔を上げる

「??どーゆう事?」

さっきまで泣いていた顔が嘘のように泣き止みキョトンとする。

『ごめん…』
「何で謝るの?」

やっと気付く自分の気持ち。

何でもっと早く気付かなかったんだろう。

自分から抱きしめる事も出来ず、話しかける事も出来ず、モヤモヤして苛立って…

全部の行動にやっと理由を見つけた。

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