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【イケメン戦国】誘惑の華

第56章 夢幻〜家康〜




「家康?」

「あのっ、家康」

「家康…」

傷が治りお針子の仕事も復帰して、いつも通りの日常が戻ってきた。

飛鳥がいつも通り声をかけてくる。
もう何日話が出来てないんだろう…
何か理由を付けて避けてしまってるのは、俺が悪い。
飛鳥の呪術の事は理解してる。
もちろん過去の事も。
初めて身体を重ねた時、生娘じゃなかったし。
飛鳥の年から考えたら、未来の事はよくわからないけど、恋仲や祝言の約束くらいしてたっておかしくない。

だから俺が悪いのは誰が見ても手に取るようにわかって…

飛鳥は初め普通に話しかけてくれたけど、最近は遠慮してしまって遠くから見つめてくるだけで…
恋仲なのに…
俺が避けてるから…

飛鳥に触れたい。
話したい。
甘やかしたい。

でも飛鳥を目の前にすると避けてしまう。

俺のこの態度に秀吉さんや政宗さんが気付かないわけ無くて、飛鳥を構ってあげてるのはわかってる。

飛鳥が相談してる事も…

『おい、家康』
『政宗さん…何ですか』

薬部屋で仕事をしてると政宗が訪ねてくる。

『何ですかじゃねぇーよ。飛鳥の事、どう思ってんだよ』

痺れを切らした政宗が家康に聞く

『どうって…別に何も』

自分でも気にしている事を直に聞いてくる政宗に動揺する。

『飛鳥が呪術にかかったのは仕方がない事だろ?それに、あれから飛鳥の表情も硬いし…まぁ飛鳥からも聞いたけど、話もろくにしてないじゃねぇーか』

そんな事…わかってるし。

俺だって困ってる。

『飛鳥と俺の事は放っておいて下さい』

そう言うしか出来ない。

『あんな飛鳥見てたら放って置けないだろ。もしこのままなら俺が…飛鳥貰うから。』
『なっ…!』

政宗の真剣な物言いに驚いて開いた口か塞がらない

『飛鳥がお前と恋仲でも俺達には関係ない。飛鳥を幸せに出来ないなら、いつでも奪う気だからな。それは俺だけじゃねぇーから…』

そう言って部屋を出で行く政宗。

そんな事わかってる。
政宗さん達が飛鳥を好いてる事くらい。
隙あらば飛鳥を奪う気でいる事くらい。

だけど、自分でもどうしていいかわからない。



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