第5章 Important person〜それぞれの想い
しばらく書き物をしていると三成が入ってきた
『秀吉様…飛鳥様は…』
両手に絵巻物を手にし、巻物をそっと枕元に置く
『三成…』
飛鳥の脇に座り見つめながら
『飛鳥様でも読みやすい挿絵が多い巻物です…目覚めて落ち着かれたら読めるかと思いまして…』
三成なりの優しさ…
『あぁ…しばらく歩くのもキツイと思う…それがあれば褥の中でも読めるしな。』
『はい。私に出来ることはこれくらいしか御座いませんので…』
俯き肩を落とす三成
『いや、飛鳥も喜ぶはずだ…』
少し触れるだけと頬を撫で三成は部屋を後にする
秀吉が飛鳥の様子を見ながら仕事を続けるのを光秀は決して部屋に入らず影で見つめる
(俺は飛鳥をからかう事しか接することができない…早く良くなれ)
秀吉もまた影で気にする光秀に気付いていた
(側で声をかけてやればいいものを…)