第44章 夜も日も明けない続〜家康〜R-18
二人で甘味を食べ、池のほとりまで歩いて少し休む事にする。
「はぁー!いっぱい歩いたー!」
足を伸ばす飛鳥の合わせがはだける。
『ちょっと』
急いで直すと
「あっ、ごめん!」
誰も居ないからって、本当無防備。
『俺以外に見せないで』
柄にもなく素直な物言いに飛鳥はポッと頬を染める
いくら天邪鬼が顔を出しても飛鳥はわかってくれる。
この子がこの世から居なくなるなんて、やっぱり考えられない。
俺を理解できるのは飛鳥しかいない。
髪を風になびかせてる飛鳥を見つめ、改めて手放したりしないと誓う。
『そろそろ戻るよ。風が冷たくなってきたし』
立ち上がり手を差し出すと、その手をぎゅっと掴んで飛鳥も立ち上がる
「うん。戻ろっか」
久しぶりの城下を楽しんでくれただろうか。
そんな事を思っていると
「楽しかったね!家康ありがと!」
やっぱり伝わってる。
この子には敵わないな。
俺の気持ちちゃんと理解してる。
飛鳥の体調を気遣い、ゆっくりと御殿まで歩き出した。
御殿に帰って夕餉を食べる。
美味しそうに食べる飛鳥を見てやっと安心出来た。
「美味しいね、家康!」
『うん』
俺の素っ気ない返事もさして気にしてない。
こうやって二人で食べれる事に幸せを感じる。
食べ終わると湯殿の用意が出来たと声がかかり、飛鳥を湯殿に促す。
「先にいいの?」
『早く行きなよ』
(まぁ後からすぐ入るけど…)
その言葉を口に出さず飛鳥を部屋から追いやる。
少し時間を置いてから脱衣場に向かうと、中から鼻歌。
多分未来の歌なんだろう。
聞いたこともない音程と歌詞。
クスリと笑い着物を脱ぐと、扉を開ける
『変な歌』
「えっ!ちょっ、ちょっと!ダメ!こっち来ちゃダメ!」
慌てて湯船に顔まで浸かる飛鳥。
可愛すぎる。
『今更恥ずかしがること?』
そう言いながら家康も湯船に入る。
城より少しだけ狭い湯船に浸かると、手を伸ばせば届く位置に飛鳥。
「恥ずかしいに決まってるよ!」
恥ずかしがる姿がまた可愛い。