第44章 夜も日も明けない続〜家康〜R-18
「うわぁ…懐かしい!」
飛鳥を連れてやっと御殿に戻ってきた。
まぁ俺はちょこちょこ戻ってたけど。
「あっ、ワサビー!良い子にしてたー?」
何を見ても懐かしい!と叫ぶ飛鳥。
あっ。そんなにワサビばっかり触らないでよ。
ってか、俺の存在忘れてない?
ムカつくんだけど。
『ねぇ』
「ん?どうしたの?」
ワサビを触る手を引っ張って飛鳥を腕の中に収める
「えっ?なに?家康?」
はぁ…何でわからないかな。
俺、嫉妬深いんだけど。
『ワサビ、触りすぎ。』
「あっ、ごめんね?」
はぁ?今、この子勘違いしてる。
ワサビを触って怒ってるわけじゃない。
『そうじゃなくて。俺、側にいるんだけど』
あぁ…かっこ悪っ。
ワサビにヤキモチとか…
「っ…家康…本当にありがとね…家康は私の命の恩人だよ?」
家康を抱き締め返す飛鳥。
『っ…!』
反則でしょ。
可愛すぎ。
このまま押し倒したいんだけど。
でも病み上がりだし。
俺こんなに堪え性なかったっけ?
抱き合ってる家康達の間にワサビが頭をねじ込んで来る
『ちょっ、何』
グイグイ間に入ってきて、触れとせがむ
「ワサビも寂しかったんだね?ごめんね、帰って来れなくて」
そう言ってワサビに出そうとした手を止め家康を見上げる。
そんな目で見られたらダメって言えないでしょ
『ワサビに貸してあげる』
ワサビに目線を合わせ告げると、飛鳥は笑いながらワサビを愛でる。
あっそんな可愛い顔ワサビでも見せるの嫌なんだけど。
城で皆んなにかまわれて、愛でられた飛鳥を思い出す。
二人で居れない事に家康なりに我慢はしていた。
飛鳥を危険に晒せたのは自分のせい。そう思って止まなかった。
『飛鳥』
「ん?」
ワサビを撫でながらも家康を見つめる飛鳥。
『俺、今日休みだけど』
ぱぁっと飛鳥の顔が綻ぶ
「お出かけしよう!ね?お願い!」
必死にお願いする飛鳥。
俺があんたのお願い断れるわけないでしょ?
『早く用意してきなよ』
「うん!」
いそいそと用意する飛鳥を確認すると、御殿の入り口に立つ。