第40章 感謝の気持ち
城下にある小さな神社
先日の強風で少しだけ枝が落ちてしまっていた。
「これ…頂くことは出来ますか?」
飛鳥は小さい枝を一本持って神主さんに聞く
『これは…飛鳥様。ええどうぞお持ちになってください。きっとご利益がありますよ。』
「ありがとうございます!」
そのまま城下町馴染みの反物屋さんに寄る
『飛鳥様いらっしゃいませ!今日はどのようなものを?』
「あの、今ある端切れを見せて頂きたいんです。着物を作るのではないので小さいものでいいんですけど…」
『あぁ、いいですよ。ちょいとお待ちを』
そう言って店の裏から端切れを持ってきてくれる。
その中から目当ての色や柄を選ぶ。
「ではこれを頂きます!お代を…」
お金を出す飛鳥に慌てて
『端切れですので!お代は結構ですよ!』
「ダメです!端切れでも大切な物を作らせてもらうんで…じゃぁこれだけでも受け取ってください」
心ばかりのお代を置いてお店を出ると足早に城に戻る
(んーっと…これは秀吉さん。これは政宗で…)
端切れを並べて見ながら考える
『飛鳥?』
襖の外から声がかかった
「あっ、待って!開けないで!」
慌てて端切れをしまい、外に出る
『どうした?そんなに慌てて』
「ううん!なんでもないの!秀吉さんこそどうしたの?」
秀吉に聞き返すと
『あぁ手が空いたからな、お茶でも飲もうかと思ってな』
そう言って頭を撫でられる
「あっ、それなら秀吉さんにちょっとお願いがあって…小刀みたいなのってある?木を切ったり掘ったりするやつ」
『ん?あぁ、あるけど』
パァーっと表情が明るくなる飛鳥
「それ少しの間貸してもらってもいいかな?後ヤスリもあったら欲しいの」
『わかった取ってきてやるよ』
秀吉が道具を持って戻ってきてくれる
「それじゃぁ少し借りるね!ありがとう!」
パタンと襖を閉める飛鳥
『おい…お茶は…』
秀吉の声は飛鳥に届かなかった。