第36章 生涯共に…〜政宗〜
『なんで…逃げないの…今までの女は逃げたのに…あんたはなんで逃げないの?』
「この乱世で…いつ命を落としてもおかしくない乱世で、大切な人の隣にいれることって奇跡だと思うんです。だから自分から手放したりしちゃいけないんです。簡単に逃げれるほど軽い気持ちで政宗の側にいる訳じゃありません。だから…私は逃げません」
そう言い切って愛姫さんを見つめる
『愛姫…お前にハッキリ言わなかった俺も悪いと思ってる。ただ俺も飛鳥を手放す気は無いんだ。飛鳥に平和な日ノ本を見せてやりたい。戦がなくなった時、隣にいるのは飛鳥じゃないとダメだ。だから…』
飛鳥の肩に腕を回しながら政宗も真剣に愛姫に話す
『だから、愛姫の気持ちには答えられない。飛鳥を愛しているんだ。』
小十郎に支えられる愛姫は涙を流しながら、ふっと笑う
『私の付け入る隙なんか無いじゃない…いいわ…その代わり、政宗に隙が見えれば私はいつでも奪いに行くわよ?』
その言葉に飛鳥は頷く
「政宗に隙が出来ないくらい…愛姫さんのようにキレイな女子になれるように頑張りますね!」
頬を腫らしたままの飛鳥はふにゃっと笑う
『頬…ごめんなさい。私の事も叩いていいわ』
そう言って目を瞑った愛姫の目の前に、ゆっくり歩む飛鳥
『飛鳥…』
制止はしないが苦しそうな顔をする政宗
愛姫を支える小十郎の手に力が入る
ふわっ
飛鳥は愛姫を抱き締める
「ありがとう…愛姫さん…今度は一緒に甘味食べに行こうね」
驚いて目を開ける愛姫だが、愛姫も飛鳥を抱き締める
『奥州一美味しい甘味屋に連れてってあげるわ』
その光景を穏やかな顔で見つめる政宗と小十郎。
飛鳥は政宗の育った奥州で初めて心を通わせられた女子がで来た。
その子は小さい時から政宗の側に居て…
飛鳥の大切な政宗を支えてくれて居た子
きっと共に政宗を支えてくれる…
そう思えるのだった…
完