第34章 迷子
飛鳥が迷子になってしばらくしてから…
『飛鳥がおらん』
いつになく焦った信長の声
共に居たはずが目を離したすきに居なくなったと。
『探して参ります!政宗行くぞ』
秀吉は政宗を連れて森の中に入ろうとした…
『待て』
信長に呼び止められる
『此奴に探させよう』
『鷹に…ですか?』
不安げに呟く秀吉に、不敵に笑いながら鷹に向かって呟く
『飛鳥を探せ』
そう言って鷹を離すと鷹は空高く飛び立つ
『見つかるのか?』
政宗も呟きながら空を仰いだ
「あぁ…あったかぁーい」
その頃飛鳥は自分が迷子になってる事も忘れてタンポポの中で寝転がっていた
(最近お針子のお仕事忙しかったしなぁ…こうやってのんびりする事もなかったし…お昼寝日和だなぁー)
そっと目を閉じると、心地よい風と太陽の暖かさで簡単に眠りに落ちた
…ピィーー−-……
信長の鷹は鳴き声を上げ、空高く登りある一定の所で旋回していた。
『そこか』
それを見つめて信長が確信し鷹の元へ向かう
その後を秀吉、政宗が続く
しばらく進むと急に開けた場所にたどり着く。
一面のタンポポ…の中で横たわる飛鳥
『飛鳥!』
飛鳥に何かにあったのでは!と、慌てて駆け寄る秀吉
そこにはスヤスヤ寝息を立てる飛鳥…
『ねっ、寝てるのか?』
口をあんぐり開けたまま固まる秀吉に
『迷子になったのに寝てるって飛鳥らしいな』
飛鳥の横に屈みながら笑う政宗
『くっ…面白い奴だ』
小さく笑いながら見下ろす信長
三人は安堵していた…
もちろん叩き起こされた後、秀吉さんにありがたーいお説教をいただき、政宗には豪快に笑われ、信長に至ってはふっと笑われたのみ…
『あんた、ほんとよく怪我するよね』
そう言って家康には転んだ時の手当てをしてもらう
『俺あんたの専属薬師じゃないんだけど』
不機嫌そうに言われたのは言うまでもない…
今まで以上に深く反省し、鷹狩りはこりごりと思った飛鳥だった…
完