第2章 Tetsuya & Taiga
男は近づく2つの足音に怯えていた。
そして過去の行いを後悔した。
男の体は傷だらけ。切り傷、刺し傷にあざ。先ほどよりも赤黒く傷が目立ってきたようにも思われた。
ついに足音の主が現れる。
「おっ、みっけ。」
「やっと見つけましたよ。まだ死んでいなかったんですね。」
彼らはなにを言っているのだろう。死刑宣告だろうか、きっと彼らは死神なのだ。
「…僕には許せないものがたった1つあるんです。さて、いったいなんだと思いますか?」
男はパニック状態だった。こんな恐怖が続くくらいならもういっそ楽にしてくれ。死にたくない!死にたくない‼︎ 殺さないでくれ‼︎‼︎ まさに混沌。
「たっ、助けてくれっ‼︎も、もうファミリーには一切関わらない!神に誓う!だからっ、命だけはっ…」
うしろの男が引き金を引く。
男の言葉を遮るように響く銃声。
「僕は神を信じていないんです。」
「悪いな、俺もだ。」
「人間は自分の死を感じた時、こんなにも醜いんですかね。」
赤い髪をした彼は僕の目を覆って言った。
「そんな顔すんな黒子…あいつを裏切ったんだ。当たり前だし、お前の事は俺が守るからな。」
彼はおでこにかるいキスを落として微笑む。
「そうですね… 火神くん、帰りましょう。甘いもの食べたいです。」
「おう、作ってやる。とりあえず報告するか。」
「はい。」
僕は裏切りを許さない。