第2章 会いに行くから、お姉ちゃん。
(No side)
万事屋銀ちゃんにて
平日の昼過ぎ。真っ当な社会人は昼食を終えて、午後の仕事へのやる気を出し始める時間に、つい先程起きてダラダラと過ごす人達がかぶき町にいた。
「あのさァー。なんでこんなに蒸し蒸し蒸し蒸し…お天道様が照り輝いてやがんだよ。まだ4月なったばっかりだよ?ついこの間まで冬服着てたんだよ?桜の木ににセミ付いちゃってるもの。誰がこの季節に灼熱のjamboreeしろっつったよ。冷めてくれSummerDreamだよ。」
席で読み終わったジャンプで顔を仰ぎながら、ダラダラといちご牛乳を飲むのは、この万事屋の社長 坂田銀時であった。
いつもだらけている侍ではあるが今日ばかりは仕方ない。なぜなら江戸では4月の初めにもかかわらず、異例の真夏日を連日で観測していた。3月はそんな素振りはなく、むしろ肌寒い春の始まりだと言われていたのだ。それが何が起きたのか、夏以上の紫外線量と気温で人々は夏バテに追われていた。
「もう今年こそは万事屋もエアコンつけましょうよ…。このまま扇風機だけで乗り切れないですよ…。」
銀時の手前で扇風機のセッティングをしながら小言をつぶやくのは志村新八。どちらかと言うと万事屋では働き者である彼も今日の蒸し暑さに苦言をこぼしていた。
「そうネ銀ちゃん。こんなに"いたいけな"夜兎族の少女が暮らしてるのにこの暑さで働かせるなんてブラック企業にも程があるネ。エアコン完備と給料とまかないでバーゲンダッシュ出すくらいしろヨ腐れ天パ。」
また別のところでドラマの再放送を見ているのは住み込みで働く少女神楽。この3人の中で1番暑さに耐えきれず、最近は夕方から夜にかけてのみしか外に出ていない。普段であれば多少の太陽光程度であれば傘無しでもなんとでもなっていた彼女だが、予測していなかったこの天気で普段のぐうたらに拍車がかかっていた。
「テメェはいたいけじゃなくて痛い目でも見てろ戦闘民族。だいたいエアコンっつってもどこにそんな金があんだよ…。こちとら先月の家賃も滞納してるっつーの。つーか神楽、お前そんな恋愛ドラマなんか見てるから余計暑くなんだろうがよォ。」
「違うアル!!【逃げるは恥だし役立たず】略して逃げ恥はそんなアツアツラブラブな展開なんてないネ!主人公を演じるカッキーと星野健が織り成すちょっと不器用なヤキモキドラマヨ」