第30章 ゲームクリア
それからケイトは程なくしてメッセージ画面を閉じ
一閃の構えをして壁に文字通り立ち続けていました。
跳躍スキルのベクトル補正によるものですね。
壁を足場に跳躍をする際、跳躍によって発生する力の『ベクトル』の制御補正。
そのベクトルが常に壁へ向かうようにすることで、壁を足場にして立ったままにすることが可能となる。
ヒースクリフ「来たまえ」ふっ
そう笑いかけられた瞬間
ケイトは僅か2秒でヒースクリフとの間にある約100mもの距離を走り抜け
土煙と共に姿が見えなくなった。
盾の影に身を潜める彼は彼女の短剣を盾で受け止めたと同時に
その盾の向こうにいるケイトへ向けて間髪入れずに剣を繰り出した。
はずだった…
が、そこにはケイトはいなかった。
一閃に見せかけた突きはアーマーピアースだった。
盾ごとヒースクリフの腕を貫通。と同時にヒースクリフの頭上へ土煙に紛れて跳んだ。
ラピットバイトのスキルモーションを出しつつ、土煙に紛れながら盾に刺した左短剣に『来い!』と念じ
抜けられない位置にあることから、自然と空中にある身体が盾にある左短剣へ向けて引き寄せられる中
右短剣によるラピットバイトを、ヒースクリフの脳天に食らわせた。
彼が気付いた時にはもう遅く、その時には刃が突き刺さっていた…
結果、半減決着に終止符が打たれました。
型にはまらない動き、予想外の戦術。
それらがモニターによって映し出され、明らかになった直後、大歓声が木霊し続けました。
興奮のあまり、金切り声に似た悲鳴までもが聞こえる中
ケイトはふんっと満足そうに一息つきながら笑っていました。
それから後、準決勝に進んだのはキリト、私、アスナが進んでいき
無論、初戦はケイトとキリトの戦いになりました。
グレイクとの戦いは鎖鎌だったので、跳躍と疾走をうまく活用して接近戦に持ち込み続け、分銅による利点を無にし、投げさせないようにしました。
アスナとディアベルの戦いは…
フラッシング・ペネトレイターに磨きがかかっているようで、見事に轢き殺しましたね;
最初こそ盾で閃光とも評されるものを封殺していたものの
後に遮蔽物であることを利用して、防ごうとするのを悉く先読みしながら攻撃し続けていました。
末恐ろしさすら感じるほどの弟子です。