第26章 攻略再開
クレハ「ケイト、一緒に帰りましょう?
大丈夫です。言いたいように言って下さい。
普段のあなたはいつも、人を傷付けない為にそんな欲求さえも我慢して押し潰していたでしょう?
見て見ぬ振りをしていたでしょう?
今はもう、そんなことをする必要はないんです。
どんな暴言でも吐いてくれて構いませんよ。
あなたが持つ優しい本質は知っていますので^^」
そう言い聞かせると、少し安心したようで…
涙腺を緩めた顔が見え、その時は無事家へ戻ってくれました。
前に一度似たようなことがありましたが、その時は5時間ほど中に入りませんでしたし、それほど精神的にはきついものがあったようですから。
そっと頭を撫でながら中に入ると、以下のような会話が聞こえてきた。
キリト「そうか…ずっと、本当は言いたかったんだ。
一言でも、愚痴として言いたかった。
だから、あんな風に」
クライン「ちっくしょぉ。言われなきゃわかんねえよ、そんなの!;」
アスナ「精神崩壊って…言っていたのは」
キリト「ああ。ただでさえ気ぃ使い強いだろ?」
『気使い強い?』きょとん
キリト「ただでさえ、相手は要らないって言っても『気を使い過ぎてる』って意味だよ。
そういうのを吐き出せる場所がなかっただろ?
ただでさえ本人は傷付けたくないからって、色々と押さえ込みがちなんだ。
それを頭からダメだとか、怒り出して否定したりとか
そういうのは、今のあいつにとっては余計にきついんだよ。
ただただ息苦しいのに、無理やり呼吸できなくされて水の中へ押し込められるような感じだ。
だから…ああなっちゃったんだよ、きっと。
過労や仕事過多は、一つのきっかけに過ぎなかったんだ。
もっと早くに、ケイトの生き方を見つめ直させないといけなかったんだよ」
そういった会話を小耳に挟みつつ、そっと頭を撫でると
ケイトは気持ちよさそうに目を細め、ソファーに身をうずめて眠り出した。
クレハ「すみません。
今の彼女に必要なのは休息であって、人付き合いではありません。
今の彼女にとって人付き合いは苦しみでしかありません。
彼女を落ち着かせる為、取り戻させる為にも、どうかご協力下さい。
他でもない彼女の為に」深々お辞儀
そして家の前に立札を立て、文字通り人との接触を絶つようにしました。