第26章 攻略再開
逆にそれは鎧のように囲うことで身を護るアイテムとなりました。
もし騙し討ちなどの卑怯な手を使われた時
自分を軸に攻撃が通らないよう案山子を間に入れ、
人や刃が通れないよう隙間を作らず敷き詰め、救援が来るまで持ち越すなどということもありました。
もし隙間のある上空から来られた場合は盾のように持ち上げることで防ぐことにも成功するという実例まであり
案山子アイテムは、消費アイテムの中で『盤石の地位』を固めていました。
そういった事例から
『《案山子》アイテムは欠かせないもの』という認識が拡がった後
イベントクエストの報酬にそれが加わるようになるだけでなく
それを考案したケイトによる、案山子を利用した戦い方などの伝授もまた活発化していきました。
その分《案山子》アイテムを作る側の需要も潤っていき
圏内のみに居たいという人もまた、勇気をもって外に出ることができるようになりました。
また、初めて外に出る方の中で『護衛が欲しい』と主張する人の為に
警備課にも護衛専門部を作ることとなりました。
そのような方針の変更、改変に伴い
書類もまた多岐に渡って行くわけで、大変なデスクワークをこなしながらの攻略で
ケイトは見るからに疲弊の色を濃くしていきました。
それを見ていられず、私は夜に誘いました。
攻略の停止を申し出ながら。
2024年4月30日PM6:30
既にふらふらのケイトを、私はある場所へ連れて行った。
47層、フローリア
桜の花見の時、夜になった後で気付きました。
星空が見れること、澄み渡る青空までもが見れる特別エリアだということに。
その星空を眺めながら、気が休まらない状態から回復させたいという願いからでした。
どうやら頭もボーとしている為か、頭に入っていないようですが…
その日の視界はいたく良好で、今まで見る中で一番綺麗だと想えるほどの星空でした。