第15章 強さ
「いつ殺されるかわかんない状況なのに、何でそんなに楽しめるんだ?」
たった一言、女性プレイヤーの言葉に
周囲の雰囲気ががらりと変わった。
楽しんでいた空気が、困惑と緊張の空気へと変わった。
ぶちっ!!
その瞬間、すぐ隣で空気が圧倒的に変わっていた。
だんっ!!!(壁ドン)
クレハ「!!」
一瞬で、私の隣から彼女を壁へと押し付けていた。
いつものケイトとは違い、黒いオーラを纏った状態で
黒い目で、見下げるような眼で彼女を見据えていた。
ケイト「…何をもって、安全と言っている?」
「…え?」
ケイト「現実と、ゲーム…どっちが危険か、ちゃんと理解しているか?」
そう言いながら、双短剣の内の右短剣を右手で抜いた。
ケイト「現実では…
頸動脈を切られりゃ死ぬ。首飛ばされれば死ぬ。肺を突き刺せば、心臓を突き刺せば、脳を突き刺せば…人ってのは簡単に死ぬ」ぴとっ
何故彼女の首に短剣を?
ケイト「生きながらに肺を刺されたことはあるか?
業火の中で生き永らえる気持ち、知ってるか?
現実の方がよっぽど残酷だ。
それを知らねえでてめえらは笑って自分の見えるそれしか見てねえだけだ。
いつ死ぬかわかんない状況?それは現実の方だろ!
圏内ではHPは減らない。絶対に死なない安全エリアだ。完全決着モードにさえしなければな!!
地震、津波、天災、事故、殺害…いつ殺されるかわかんないのは現実の方だ!!
なんならてめえの首を飛ばすことなんていつだってできるんだぞ?」黒睨
クレハ「ケイト!怒りを押さえ
ケイト「・・」ギロッ
クレハ「!!」ゾクッ!!
これは…殺意?
怒り、憎しみ、沢山の念がこもっているようにも感じる。
押さえようと近付こうとした矢先、ケイトから向けられた眼に止められた。
今までに見たことがないような冷たい目に…
ケイト「父に殺されかけたこともないくせに。
父に殺されかけた気持ちも、その影に怯えて暮らす境遇も、わかるわけなんざねえだろ?
てめえは世の中の残酷さも知らねえで、無責任に口開いて憶測広げては不安を蔓延させていく…
ただのガキだ」
その目は真っ直ぐに、彼女だけを見据えていた。