第15章 強さ
前にケイトを見つけ、和解し合ってから大きな木の下でケイトは言いました。
「この上に、ウッドデッキがあって圏内だったら安心して眠れるのになあ」と。
『初めてクレハと出会った大きな木の上に風通しのいい場所を作って、そこでのんびり昼寝をしたい』という話になった。
要するに、昼寝と夜の睡眠を徹底することを義務付けた方がいいと考えたのです。
その大きな木は無論圏外エリア。
でも安心して寝られるようにする為に、研究しました。
その内容は…圏外エリアにおける、圏内エリアの作成。
もともとは休憩地点としても使えればと、ケイトがかねがね考えていたもの。
圏内と圏外とでその違いを区別するために分解を使って材料を見比べ、各々の材料を分析して違いを見つけた。
建物の材料に圏内のそれを合成で使いつつ移動式の建物を建築で作ってみると、圏外エリアに置いたとしてもその内部だけは『圏内エリア』として存在し続ける結果を残していた。
圏外からの敵の侵入も受け入れないままに。
そのケイトが趣味で導き出した答えをもとに、私は屋根付きのウッドデッキを作ってから設置を行いました。
高さについては、一層内で一番大きな木のてっぺんだからそのエリア全体を一望でき
非常に眺めもよくて風通しもいい為、昼寝に最適なものでした。
たとえ夜であっても…
ケイト「よぉし!私の部屋から行けるようにしよう!」
クレハ「いいえ、私の部屋からです」
ケイト「え?何で?」
クレハ「あなたの場合、沢山の人が出入りできるようになっているでしょう?
その点、私の方はケイトとグレイクだけですから」微笑
ケイト「あ、なるほど!昼寝を邪魔されないで済むってわけか!」
クレハ「ええ」にっこり
そうして、私の部屋からウッドデッキへ行けるように設定。
昼の時には必ず共に昼寝をするように。
夜の時は一緒に寝るように。
そうしていく内に、悪夢も大分と見なくなってきたようで…とても安心した表情を見せることが多くなりました。
父と瓜二つのそれを見てからというものの、その恐怖とばかり戦っていたから…
それを見かけた場に通りがかる度、フラッシュバックとPTSDで何度も何度も蘇るそれに、
頭を抱えて震え、怯え続けていました。
それから少しずつ、笑えるようになったことが嬉しかった。