第44章 お泊り・3日目
クレハ「ケイト…私から一言だけ言わせてもらいます。
あなたが傷付いたのは、その友達が別のその友達の友達に言ったことでしょう?」
ケイト「…うん」
クレハ「その誤解から、風評が生まれて周囲まで拡がり
孤立が促され、理解者が減り、新たな誤解を生み、いじめという行為が成し遂げられる。
だからこそ余計に過敏に感じたのでしょう。
いじめやすい、抵抗されない、理解者がいない、止めようとする者がいない。
それこそが、いじめのターゲットとなりやすいものですから。
知らない誰かに言われるという行為が、あなたの古傷を刺激し、傷付けた。
おそらく、その友達はそういった意図ではやっていないでしょう。
でもきっと本人は、自分は悪くないと思っていますよ。
それに気付いてさえもいないでしょうし、何より…そういったことは、本人から直接話されないとわからない類のことですから」
ケイト「私は…臆病者だ」くしゃ
そう言いながら、頭を抱えながら髪の毛を掴んだ。
それは自分を殴ろうとした行動を、咄嗟に押さえての行為に見えた。
ケイト「理解してもらう為に、そういった気持ちを「話す」という行為さえもできなかった。
その自分の気持ちの理解でさえも進まないまま逃げた。
謝ることしかできなかった。弱虫だ」
クレハ「まあ…あなたの考えの整理がつくまで、時間もかかりますし。
合わせる顔がない、誤解されてばかりだったといった旨までしか伝えていないのでしょう?」
ケイト「…うん」
クレハ「今後、気を付けましょう。
人柄や本質に関しては、きっと伝わっています。
気休めかもしれませんが、大丈夫ですよ。
あなたの認める最高の親友なのですから」
ケイト「うん。信じてる。
だから…(ぎゅ)
その件は知って欲しくない。知られたくない!」
両膝を抱えながら拳を固めながら、悲痛な声が隣から聞こえた。
クレハ「それはまた何故?」きょとん
ケイト「それで…息苦しさなんて感じて欲しくない!
それで行動を制限して、自分らしくいられなくするぐらいなら…死んだ方がマシだ!!」
両目を瞑りながら、過去のことを思い出してか震えながらの叫びに、私は目を丸くするばかりでした。
クレハ「少々堅物と言いますか、真面目過ぎます;」
テロップ『既に少々という域を飛び越えている』