第40章 窮地
ケイト「はあ…びっくりしたああ;(ぺたん)
近くを通りかかったらいきなりあんな狂ったような声だし、鍵が開いてるから様子を見たら押し倒されてるし、明らかに未成年の男が注射器だって持ってるし…
久々だなあ。命のやり取りをしたの」
「えっと…」
ケイト「あ、不法侵入してごめんなさい;」土下座
その間に私は男をしっかりと縛り上げていきました。
「それはいいわよ。助かったし…でも」
ケイト「えっと…クレハ、注射器の中身は?」
クレハ「スクシニルコリン、毒薬です。撃たれた人は間違いなく死にます」
「!!」
ケイト「やっぱりかあ…;なんかやな予感がしたんだよね;
これは殺人未遂ってことで通報するしかないか…
というか…脳震盪だよね?;大丈夫かな?;
手加減したけどなんか不安」
クレハ「とりあえず警察に連絡していますね」
ケイト「うん。お願い」
「…あなた達、一体何者なの?」
ケイト「私はケイト、こっちはクレハ。
全日本武道大会知ってる?その優勝者」
「!!…あの?」
ケイト「うん」
「……」
ケイト「………
(沈黙が、重い!!;」汗
「ねえ」
ケイト「ビクッ!)?はい!?」
「…沢山の人を救ったって聞いてるわ。
よければ…聴いてくれない?」
そうおずおずと彼女は、その状況に陥った経緯を一つ一つ明かしてくれた。
幼い頃に巻き込まれた事件が原因で、銃に対してトラウマを抱いていた。
母親を守るため、無我夢中で強盗犯に立ち向かった折、強盗犯が持っていた銃を奪い、もみ合う中思わず強盗犯を撃ち殺してしまった。
いじめを受けていたこと。
それ以来、銃の写真や映像を見ただけでパニック発作を起こすようになったこと。
倒れている彼は友達で、優勝のお祝いをしたいと訪ねてられ、一通りお祝いの言葉をかけると約束の話をし出したそうだ。
BoBが終わったら自分のものになってくれるという『独りよがりな約束』の話を…
尋常じゃない表情で迫ってきて、拒絶されるとポケットから筋肉が弛緩してしまう薬品が入った注射器を取り出し
人を殺したことがある自分に憧れていたと語り出された。
こんな絶望的な状況に、もう何も見たくないと心を閉ざそうとしかけたが、勇気を出して必死に抵抗を始めた。
それでも追いすがられた時…現われたのが私達だったと。