第31章 帰還
2025年1月22日AM0:00
SAOの世界から現実世界に帰還してから2か月と2週間と1日が過ぎた。
私達SAOからの生還者は《SAOサバイバー》と呼ばれており、一斉に起きたことからニュースを騒がせた。
そして現在、リハビリに励み体力を取り戻した私達は普通の生活ができるようにまで回復していた。
一方で、ケイトやアスナまでをも含めた300人のプレイヤー達は未だ意識を取り戻さず眠り続けている。
戻ってから私はすぐ、ケイトのいる病院を探し続けた。
しかし、未だ彼女は目を覚ましていなかった。
それでもと、自家用のヘリで私の家へと運んだ。
目を覚ましてから運ぶのではなく、家で見届けたいという我がままから。
その身勝手な要望を、お爺様は叶えてくれた。手回しから準備まで、全て…
そうして今、母が生前過ごしていた部屋のベッドに、ケイトは横たわっている。
それでも微動だにせず、眠り続けていた。ナーヴギアを被ったまま。
かと言って、それを外せば二度と目を覚まさないかもしれない現状から
何も出来ず、その手を握り締めながら見守るしかなかった。
あの壊れ行く瞬間、握り締めた左手に触れて…
アスナやキリトもまた、あの透明な床に招待されていたようです。
連絡によると、アスナもまた目覚めておらず、似たような状況の方が300名ほどいると聞きました。
どうして連絡先を知ったかについて尋ねると、菊岡という人から教わったとのことです。
SAOでのデスゲーム事件は《SAO事件》と呼ばれており、被害者の搬送先となる病院の受入体制を整えるチームの中心人物。
それが菊岡とのことで、SAO内での出来事の情報提供をする見返りに
SAO内で仲が良かった人の連絡先を教えてもらったそうです。
ついでにナーヴギアが没収されないこともまた、この見返りの一つとして行ってもらえるらしく
私もまた、キリトと同じくナーヴギアを捨て切れずにいるのが現状です。