第5章 Ze~ro~な智くん
翔side
いよいよ本番が始まった。
今日の俺は、町尾さんに代わって、台本に書かれた通りに進行していくこと。
いつも通り落ち着いてやれば、何の問題もない筈だ…った…
なのに、普段は気にもしたこともないジャケットの皺が気になって、それをちょっと直そうと思ったのがいけなかった(>_<)
ポケットに入れたままにしてあったリモコンのスイッチが、onの状態に切り替わってしまったんだ。
しかもそれに気付いたのは、智くんが担当する”三面”のコーナーの時で…(;^_^A
でももう本番はとっくに始まっているから、どうすることも出来ず…
結局、生放送が終了するまで、終始涙目になった顔を赤く染め、しどろもどろ状態になってしまった智くんには申し訳ないが、俺は何事もなかったかのように司会進行を勤め上げた。
結果的に放送事故には至らず、事なきを得た訳だが…
出演者とスタッフに挨拶を済ませ、控室に戻った俺に、
「もうニュースなんて絶対出ないんだから! 翔くんのばかぁっ!(T^T)」
と、まあ智くんからは散々な言われようで…
「マジごめんてば…。ほら、出してあげるから、ズボン脱いで?」
ひたすら謝るしかなく…
挙句、ベルトを外そうと伸ばした俺の手は見事に払い除けられ、
「いいもん、僕自分で産み落としてくるから!」
と、スタスタと控え室を出て行ってしまい…
一人残された俺は、なんとも情けない顔を鏡に向けるしかなく…
「やっぱり智くんにキャスターは無理みたい…」
と、今更ながらに納得しましたとさ、チャンチャン♪
つか、産み落とす…って…
どうやって(。・_・?)
おわり♡