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【文スト】いつも、貴方のお側に…

第3章 気のせいじゃないです、お嬢様


「…で、ここはこの公式を使えば…」

「え…え?…国木田先生、分かりません…」

「なッ!?………いいか、もう一度言うぞ。ここは、まずこの式をこうしてから…」



…駄目だ。何時も以上に頭が働かない…
数学は元から苦手だけど、今日は苦手意識の性じゃなくて、なんか声が途切れ途切れに聞こえるような…兎に角、全く頭に入ってこない。
でも、何度も工夫して教えてくれる国木田さんに申し訳ないからと思い、必死に手を動かすんだけど…


「…お嬢様、あすかお嬢様、…聞いておられますか?」


「…あっえっと、ごめんなさい!!何処まで___!?」


いきなり目の前に国木田さんの手が伸びてきたと思ったら、その手はそのまま私の額の部分に充てられた。
少しひんやりとしたその手が、今の私には心地よく感じられた。
…ん、心地良い…?


「…はぁ…矢張りお嬢様、熱があるじゃないですか。」

「あ…全然気付きませんでした…」

「先程からお嬢様、私の話を聞いているようで聞いていなかったから何事かと思えば………取り敢えず今日はお休みになって下さい。」


「え、でも…」

「お休みになって下さい、お嬢様。」

「ハ、ハイ…」

…さっきより語気を強めて言われてしまった。怒らせてしまったのだろうか…
言われるがままに席を立ち、ベッドの方に向かおうとするが…


「ッ…!」

「あすかお嬢様!!!!」

ドサッ…

「ん………く、国木田、さん…!?」

「お嬢様は全く…もうこれ以上目の前でフラフラされては困りますので、私がこのままベッドまでお運び致します。」

「え…で、でも大丈夫です!!!」

「大丈夫じゃ無いでしょうが!!!」

「うッ…」

「…申し訳ありません、お嬢様。つい口が悪くなってしまいました。ですが…」




「…黙って、このままで居てください。」


私は何も言えなくなり、そのまま国木田さんに体を預けていると、何時しか深い眠りに落ちていた。
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