第2章 朝の災難
「…様ー?、…お嬢様ー?、お目覚めの時間ですよー?」
「…ん…も、もうちょっ…と…」
「駄目です。さぁ、起きて下さい。それとも…」
「…お目覚めのキスが、必要ですか…?」
耳元で囁くように告げられたその言葉によって私はベッドから跳ね起きた。
「起きます!!起きますから!!!」
「あぁ、やっと起きられましたか………ちょっと残念…」
彼は何故か少し悲しそうな顔をしたが、すぐに何時もの笑顔に戻り、
「御早う御座います、あすかお嬢様。」
と告げるのであった。
私の家には、8人の執事が居る。
それぞれ年齢も性格も違うが、仕事は真面目にしてくれるいい執事…だと思う。一癖も二癖もあるような感じだが、敢えて言わない事にする。
そして、毎朝私を起こしに来てくれるのは敦くん。
いつも穏やかな笑顔で起こしに来てくれる…が、
「…朝から恥ずかしいのでその起こし方やめて下さい!!」
問題はこの起こし方である。
「えっ、だってあすかお嬢様がなかなか起きないから…」
「そっ、それはそうだけど…もっと他の起こし方がありますよね!?」
「良いじゃないですか、お嬢様かそれで起きて下さるなら。」
「そう言う問題では…」
「…お嬢様が可愛いから…ついしたくなるんですよ…」
「え?今何か言いませんでしたか?」
「いえ、何でもありませんよ。さぁ、早くお着替えになって下さい。」
「はぁ〜い。」
「では、私は紅茶の準備をしてきますので、先に失礼しますね。下でお待ちしております。」
そう言って彼は部屋を後にした。
…やっぱり、あの起こし方はどうにかならないのかと思うが、取り敢えず着替えなきゃとと思い、クローゼットの中から適当に洋服を出し、そそくさと着替えを済ませて私は彼らが待つ部屋へと向かった。