第7章 嫉妬。
side灰羽
重い体を引きずるようにして、やっとの事で帰宅。
スーツのままベッドに倒れこむ。
好きなんだ。
椎名さんが。
でも、突きつけられた現実。
冷たい瞳。
紙切れで交わされた強い契約に、俺は立ち入ることすらできない。
苦しい。
苦しい。
溢れ出る涙が止まらない。
どうして好きになったんだろう。
どうしてあのとき唇を奪ってしまったのだろう。
どうしてあの日、椎名さんとセックスしてしまったのだろう。
ただ見ているだけの方がこんなに悩まなくて済んだ。
苦しまなくて済んだ。
あの雨の日、すぐに既婚者だと教えてくれたなら、踏ん切りがついたのに。
何もやる気が出ない。
このまま寝てしまおう。
そう思った時だった。
俺のスマホにメッセージアプリが届いたのは。