第7章 嫉妬。
「ただいまー」
玄関が開く音がした後、ご機嫌そうな声で帰宅の挨拶をする旦那…もとい孝支。
玄関に向かえば少し頬を赤くした孝支がふにゃりと笑う。
「ただいま、文乃?」
「おかえり孝支。今日はご機嫌だね。飲み会でいいことでもあった?」
そう聞けば孝支は、とととっと私に近寄り、正面からぎゅっと抱きつく。
「いいことってわけではないけど、久しぶりにうまい酒が飲めたなーって思って。」
ふわり、香るお酒の香り。
孝支、そこまでお酒強いわけじゃないんだけどな。
「ご飯はどうする?」
「んーん、大丈夫。でも…」
ぐっと引き寄せられる腰。
壁に押し付けられる背中。
「今日は文乃のこと抱きたい気分。」
いい?
ブラウンの瞳が私を見つめる。
珍しいお誘いにきっと私の顔は真っ赤。
何も言えないでいると、孝支の手が私の服に伸びる。
「こっ…孝支?」
「抱いていい?」
いつもはベッドでしか抱こうとしない孝支が玄関先で誘ってくること自体珍しい。
だからこそ戸惑っているのだ。
「孝支…何かあった?」
そう問えば、孝支はじっと私を見つめる。
そして、顔を近づけたかと思ったらいきなり深いキスをしたんだ。
びっくりして名前を呼ぼうとした時に入り込む舌先。
そのまま私の舌を捉えると、唾液の音がするくらいに自分の舌を絡めていく孝支。
絡まる舌が気持ちよくて縋るように孝支のジャケットに捕まると、孝支はさらに私の腰を自分の方へと引き寄せた。
気づかないふりなんてできなかった。
孝支の”ソレ”が熱く、硬く滾っていることに。
そして、それに気づいた私のカラダが疼いてしまったことに。