第5章 平穏な、日々
なんだろう、体がだるい。
目を開ければいつもの自室。
なんだけど、何かいつもと違う。
そう思って枕元の時計を見れば、デジタルの時計は月曜日、出社時間を大幅に過ぎた時間を映し出していた。
嘘っ!
遅刻っ!
飛び起きリビングに走ろうとしたけれど、布団を取り払った私の体は何も身につけておらず、慌てて近くにあったバスタオルを巻きつけリビングに出た。
「おはよう、文乃。」
リビングにはスマホをいじりながらコーヒーを飲む孝支がいた。
「おはよ…孝支。仕事は?」
「午前半休取った。それより体大丈夫?昨日飲ませ過ぎたから心配で。」
文乃の職場にも半休の連絡しておいたなんて普通の顔で言うから私はどんな顔をしたら良いのかわからなくなる。
「朝食、できてるけど飯先にする?それとも風呂?」
そうか、昨日お風呂も入らずに寝ちゃったのか。
お化粧も落としてないし。
「じゃあ先にお風呂行こうかな?」
気になることがある。
それは秘部の違和感。
なんだかセックスした時みたいな感覚がある。
でもこの感覚は孝支の時にはなかったもの。
灰羽くんとの激しいセックスのときの感覚だ。
そして、どうして私は衣服を身につけていなかったのだろう。
いや、考えすぎだ。
孝支が酔った私にセックス…それも激しいセックスなんてするはずがない。
でも…
「ねえ、孝支。」
そう聞けば孝支は私の方を見て不思議そうな顔をする。
「あのね…?私寝てる時、変なこと言ってないよね…?」
そう問えば、孝支はにこり、笑って答えた。
「何も聞いてないよ?」