第1章 はじまり
出会ったのは桜舞う4月。
着なれないスーツに身を包み、緊張した面持ちで立っていた貴方。
「灰羽リエーフです!
こんな見た目ですが生まれも育ちも日本です。
よろしくお願いします!」
最初の印象は「元気な子犬」
はじめて外に出て、嬉しい。
周りのものに興味津々。
そんな雰囲気。
「じゃあ、教育係は…椎名な。」
上司に告げられ、彼の前へと歩む。
『教育係の、椎名 文乃です。わからないことがあればどんどん聞いてね?よろしく、灰羽くん。』
差し障りのない挨拶にも彼は日本人離れしたグリーンの瞳をキラキラと輝かせて私を見て、笑った。
本当、日本人らしくないよなぁ。
最近の子は目を合わせることも躊躇するのに。
ずいぶん高い身長。
ヒールを履いていても差がありすぎて見上げるのに首が痛くなる。
大変な新人の教育係になったな。
ただ、そう思った。