第15章 離婚、する
不意に胸とクリトリスをつまんでいた手が外れ、二の腕を掴まれる。
「っ…ごめんなさいっ!」
今までスローペースで動いていた灰羽くんがぐいと私の腕を引きそのまま腰を穿つ。
先ほどよりさらに奥を突かれ、口からは喘ぎしか出なくなる。
「っ!ごめんっ!イくっ!」
がつん、と音がなるような感覚。
それくらい奥まで陰茎を刺され、直後じわりと温かくなる奥。
二の腕をつかんでいた手を離されると、私はくたりと床に落ちた。
「っ!ごめんなさいっ!!」
灰羽くんは急いで自身を抜き、私を抱え起こす。
おろおろした灰羽くんはまるで困った時の子犬のようだ。
そういえば、最初の印象も"子犬"だったな。
そんなことをふと思い出しくすり、笑った。
「…椎名……さん?」
私が笑ったのを見て、灰羽くんが私の顔を覗き込む。
その隙を見て私は灰羽くんの首に腕を巻きつけグイと引き寄せた。
「っうわっ!!」
勢いあまって私にのしかかる灰羽くん。
起き上がろうと体を起こした灰羽くんの隙のある唇に、私は自らの唇を押し付けた。
「…椎名…さ…」
「さっきも言ったけど。」
彼の唇をねろりと舌で舐めながら、私は灰羽くんに言う。
「こんなに好きにさせた責任、ちゃんと取ってよね。」
困惑した顔から、少しずつ柔らかな笑顔になる灰羽くん。
はい、と返事をしながら彼は私の背中に手を伸ばし、私をぎゅっと抱きしめた。
「ねえ、灰羽くん?」
「ん、何すか?」
「まさかこれで終わり…?」
不安になりそう問えば、灰羽くんの腕の拘束が緩み、にやりと笑む。
その表情は先ほどの柔らかな笑みからは想像もできないくらい艶やかで、なんども見たはずの私でさえも背中がぞわりと泡立った。
「終わりだと、思います?」
「思わないわよ。」
灰羽くんが伸ばしてきた手は半端に脱げた私の服を一枚一枚脱がしていく。
それが終わると、自らもワイシャツを脱ぎ、玄関に放った。
「俺のこと以外考えられなくさせてあげますからね?」
私の身体を起こした灰羽くんはくすりと笑い私の目元にキスをする。
私の心はもう貴方だけ。
そう伝えるように私は彼の唇に優しくキスを落としたのだった。