第15章 離婚、する
「ごめんなさい。私、孝支と一緒にいけない。」
そういい私は、目の前のテーブルに指輪を置いた。
「これは…離婚する…ってことでいいのか?」
小さく呟かれた声。
私は肯定するようにこくりと首を縦に振った。
「沢山考えた。
孝支に着いて行くこと、単身赴任…
沢山の未来を考えた。
でも私、今の仕事を捨てられない。」
「だったら俺だけ仙台に…」
「それにね。」
下を向いた顔を上げ、孝支を見る。
言わなければ伝わらない。
ちゃんと聞いてもらわなきゃ。
「私、灰羽くんが好きなの。」
しん、と静まり返った部屋の中、私の言葉がすうっと消える。
「私、去年ずっと灰羽くんと浮気してた。
カラダだけの付き合いのつもりだった。
でも…仕事で、プライベートで関わるうちに灰羽くんなしじゃ、私…」
「俺も、文乃無しじゃ生きるのがしんどいよ。」
いつのまにか瞑っていた目を開けると
目の前の孝支は
ふわり、微笑んでいたんだ。