第13章 会社を辞め、ついて行く。
「ただいま。」
家へ着くと、積み上がった段ボールの隙間から孝支が顔を出した。
「おかえり。最後の飲み会楽しかったかー?」
「うん。あ、これみんなから。お揃いのお弁当だって。」
コートを脱ぎもらったお弁当の袋を孝支に渡し、洗面所へ向かう。
手洗いうがいをし孝支のところへ戻ると、にこり、孝支は笑って私を抱きしめた。
「うん、文乃の香水の香り。」
最近、毎日こうだ。
出先から帰ってくると、私を抱きしめて私以外の香りがしないかを確かめる。
「ねえ、孝支?」
するり
私は自らの腕を孝支の首に絡めると、少しだけ背伸びをし、そっと口付ける。
「シたいな?」
唇に触れたままそう呟くと、孝支は私に口付けながら私のシャツのボタンを外した。
「珍しいな、文乃から誘ってくるなんて。」
はやく
はやく欲しい
「私、本当はこんな女よ?」
カラダの熱が冷めきる前に
「幻滅した?」
早く
「全然?むしろ良い。」
部屋着のスエットの隙間から指を入れ、主張を始めた孝支自身に触れる。
そのまま外へと導くと、私は躊躇せずぱくりと口に咥えた。
「じゃあ、中に出して?
私、孝支の赤ちゃん欲しい。」
さっき、灰羽くんについた嘘を隠すため
そして、孝支についた嘘を隠すために
私は強請った。
「中に、いっぱい出して?」
嘘を、塗り隠すため。